| 要約 |
高度運転支援システムでは,自動車に搭載されたセンサによる周辺環境情報を用いて自立的制御を行うことにより,自動車の動きを支援し安全な交通社会を実現できる.しかし自車両で取得するセンサ情報だけでは,検知範囲の限界や見通しの悪い交差点における急な飛び出しに対応できないなどの理由のため,他車両や路側機で検知した情報を無線通信を用いて相互に交換する必要がある.また高度運転支援システムの発展には,各車両から送られる周辺環境情報をサーバで統合し構築する動的なデータベースである,Local Dynamic Map (LDM)を各車両に共有することが必要である.LDMを構築するためのデータ伝送には10ms以下を目標とする低遅延な無線通信を行う必要があるが,道路上に多数の車両が存在し,各車両が自車のLDMデータを基地局を通してインターネットサーバに伝送する場合に,伝送遅延の増加が問題となる.
そこで本研究では上記の状況において,移動体通信網のエッジである基地局などにサーバを設置し,情報処理位置を分散する機構であるMobile Edge Computing (MEC)を用いて伝送遅延の削減を図る.本稿では初期検討として,交通流シミュレータを用いて直線道路における交通過集中時の車両トラヒックを求め,その結果を通信シミュレータに適用することでMECの効果を検証する. |